アメリカのガイドライン（USPSTF)では，無症状でリスクのない 成人には心電図をとることは推奨せず，中等度ゃ八ィリスクの方で あつたとしても，現状ではデータ不十分であるとしています.その 意義をどのようにお考えですか？日本では，健常人でもかなり広い 範囲で心電図をとることが推奨されているようですが…….

摘要

スクリーニングに対するさまざまな推奨を提供しているUSPSTFガイドラインでは， 冠動脈疾患のリスクがない人ではスクリーニング検査としての安静時12誘導心電図は 行うべきではなく，リスクのある人に対してもスクリーニングを勧めるェビデンスは不 十分です1).曰本においても福井らの研究結果に基づき，同様に勧められないとしてい ます2).無症状の人に心電図を取るということに関しては，多くの人手やコストがかか ることは明確で，それを上回るメリットがあるという研究はなく，少なくとも公費を投 入するような健診事業で心電図を行うことに問題があるのは明らかです.それにもかか わらず，住民健診や企業健診において，安静時の12誘導心電図を検査に含めていないと ころはほとんどないように思われます.ここに投入する公費があるのなら，ただちに別の 重要な事業にそのコス卜を投入すべきです.企業であればもっと別のことに投資すべき で，そこに議論の余地はないように思われます.