物質の世界を探検するこころ

摘要

実は、若手と呼ばれて喜んでいる自分のことをだんだん厚かましく感じるようになってきましたので、執筆のお話しをいただいたときはお引き受けしてよいものかどうかと思いました。しかし気持ちとしてはまだまだ修行中の身、与えられた仕事はありがたく項戴することに致しました。研究者としての私の生い立ちから申しますと、理学部化学科の出身で最初は溶液化学をやっていましたが、鉱物·セラミックスに興味をもちX線結晶学の研究で学位を項きました。そして金属材料技術研究所（現：物質·材料研究機構）に就職したのですが、配属はX線解析グループであり、金属材料についてはほとんど意識することなく過ごしました。その後大学に移ることになってますます金属材料からは遠のきましたが、数年前に鉄鋼スラグ分析の研究会に加えて項けることになり、その機会に（2011年）鉄鋼協会にも入会しました。そのようなわけで鉄鋼界では半人前の若手として取り扱いをお願いしつつ、遍歴の甲斐（弊害？）もあっていろいろなテーマに手を出してきた中からでは多少鉄鋼に開係のある研究について紹介致します。