希望者参加型の防災実践の限界 －津波避難個別相談会の実施を通じて－

摘要

本稿では，地域住民が参加する避難促進策の多くが，地域の全住民を対象として，知識の習得，意識のn啓発を目的とした広義の防災教育に関する取り組みとなっている現状に着目し，その教育効果の限界を指n摘するとともに，新たな方向性の避難促進策として，防災意識の高い住民を活用した“率先避難者”を導n入することを提案する． nそして，三重県尾鷲市を対象に“率先避難者”となりえる防災意識の高い住民に対して，津波避難に関nする詳細な情報を提供することを目的として津波避難個別相談会を実施した．その結果，相談会参加者はn不参加者と比較して，懇談会参加以前から意識が高く，災害に備えて具体的な行動をとっていたことが確n認された．また，参加者は，相談会参加後に家族で避難方法を相談する機会を持つなどの行動をとったこnとが確認された．