平成28 年熊本地震直後における主体別の避難障壁の類型化と、次への備え・伝え方について 『熊本地震の体験談から学ぶ防災ヒントブック』の製作と配布を通じて

摘要

　「復興」という言葉が必ずしも元の状態を上回る経済復興ではなく、質の向上や生活のあり方そのものの転換を意味するようになる中、目指すべき復興像も多様化している。その中で、事前に個々の多様な状況と経験を共有し合うことができていれば、それぞれの復興への近道となるのではないだろうか。また、多様化しているからこそ、各人の動きは小さくなる側面もある。本稿及び『ヒントブック』においては、熊本地震における主体とその障壁、次に起きた際にどう対応すべきかの基礎的な整理を行った。定量的なヒアリングを行えておらず、網羅性については課題を残すが、類型・内容の精査と継続的な配布により、復興を次の震災の備えとして少しずつ各人へ定着を図って行きたい。