Ⅲ.木造住宅外皮の設計施工に起因する不具合事例と対策屋根の不具合

摘要

屋根の形状や葺き材は多雪地域，強風地域など建築地の気候風土に合うよう計画されるものであるが，近年のシンプルなデザインに代表されるRC造のような箱型の建物や片流れ屋根などが建築地を問わず全国的に多くなっている。このような設計面の変化が，屋根葺き材の変化や納まりなど施工面でも大きく影響している。住宅瑕疵保険の適用事故のうち，約9割が雨漏りによるもので，屋根は全体の22.4%となっている。木造住宅の劣化リスクを高める要因のうち，屋根の計画•構成および納まりにかかわるものは①屋根形状·寸法，②層構成，③屋根—外壁の取合部があり，単に屋根の部位だけの不具合ではなく，他の部位の不具合と密接にかかわっている。