のりたまハウス

摘要

910モデュールの標準グリツドに壁心R=570の壁を付加することで,水平に広がるホリゾント壁が複数生まれる。入角が無くなる各コーナーではパースペクティブが消失し,各階で40m~2に満たない小さな住宅は,物理的な制約を超えて新たな広がりを獲得することになる。壁が重なる部分に配置されたサッシからは光と風が導かれるが,この窓は敷地境界線上の空隙を見通せるようになっている。そのためプライバシーを確保しつつも,敷地境界を超えていく奥行のある眺望を取り込むことができる。北側の壁は風圧に耐えるよう鉄骨を仕込んで三層吹抜けとし,この家のどこからでも見える特別な場所にした。トップライトから落ちる光によって僅かに発光するかのようにも見えるこの壁面を,家具と天井エッジで立体的にフレーミングすると,焦点の定まらない底なしの空間が顕れてくる。ここはあらゆるイメージが投影可能な,逆説としての開口部となる。