地域と共に生きる--東京の銭湯

摘要

2018年9月末現在、東京都の銭湯は545軒(東京都浴場組合非加盟銭湯を除く)。銭湯が身近ではない人には、多く感じる数であろう。だが、1965年ごろの全盛期、銭湯は都内に2,600軒以上もあったという。急激な減少の背景には、内風呂の普及、建物の老朽化、担い手の高齢化、相続問題……さまざまな要因があり一筋網では解決できない現状がある。一方で銭湯に注目する若年層も増え、メディアに取り上げられる割合も増加している。コミュニケーションの希薄さが騒がれる昨今、日本人の精神性と深く結びついた地域サロンとしての役割が再評価され始めたと感じる。実際、高齢化や子育て問題、地域防災など、さまざまな社会問題に対するセーフティーネットとしての可能性も計りしれない。