アスパラガス根のフルクタン加水分解酵素(FEH)の四，五糖類に対する作用

摘要

【目的】アスパラガス根のフルクタンが分解されて生成したフルクトース（Fru)は若茎の萌芽のエネルギーとして利用され る.我々はこれまでに，アスパラガスのフルクタン分解に関与するフルクタン加水分解酵素(FEH)はアスパラガスの主要な オリゴ糖である三糖類のネオケストース（Nk)に対してよく作用する酵素で既知の他植物のものとは異なる性質であること を報告した（H28年度本大会）.本研究では四，五糖類に対する作用を調べることを目的とした.【方法】アスパラガスFEH はH28年度本大会で報告したものを用いた.基質には各種のィヌリンネオ型のフルクタン（1~F(1-β-D-f ructofuranosyl)_m~（-6）~G(1-β-D-fructofuranosyl)_n sucrose (Nk: m = 0, n =1;4c: m -1,n -1;5c: m - 2, n -1; 4b ： m = 0, 2； 5b: m = 0, n = 3; 5d: m =1,n = 2)を用いた.基質の終濃度を10 mMとし，pH 5.0, 30℃で湯浴 し，反応生成物をHPAEGで分析した.生成したFru量から加水分解活性を算出した.酵素活性の単位は，1分間に1 μmol のフルクトースを生成する酵素量を1unitとした.【結果】本酵素のNkに対する加水分解活性を100%とすると4c, 5b, 5c に対して50-70%, 4b, 5dに対しては20%以下であった.アスパラガスのフルクタンに本酵素を経時的に作用させたところ， 各重合度のフルクタンの減少が観察されたが4b, 5dは残存していた.これらのことから本酵素はイヌリンネオ型のフルク タンの基本的な骨格である4b, 5dには作用しにくい酵素であることがわかった.