超小型衛星に搭載可能なコントロ'ールモ'ーメントジャイロの開発

摘要

1970年，日本初の人工衛星である「おおすみ」が打ち上げられて以降，数多くの人工衛星が国内外で開発されてきた.それ以降，ミッションの高度化に伴う人工衛星の大型化が進められてきたが，近年では質量150kg以下の小型人工衛星の開発が拡大している.小型人工衛星は低コストかつ短期間での開発が可能なため，大学や欧米のベンチャー企業を中心に開発が進められている.特に超小型衛星の需要は増えていくことが期待されており,その中でも3U(10cmの立方体が3つ)サイズの需要が伸びるとされ，超小型衛星の8割を占める地球観測衛星のための姿勢制御に対する要求も高まると予想される.一方，超小型衛星は大気抵抗トルクなどの外乱トルクの影響を受けやすいため,低軌道において超小型衛星の姿勢安定化が求められる.しかし，小型衛星用のアクチュエータとして一般的に用いられる磁気トルカの出力可能トルクは小さく，大きな姿勢の乱れを安定化するためには不十分であり，姿勢を安定化できないため，制御不可能になり運用期間を終えてしまう可能性がある.これに対し，角運動量交換型のアクチュエータは大トルクが出力可能である.角運動量交換型のアクチュエータには，ホイールの角運動量の増減によってトルクを出力するリアクションホイール(RW:ReactionWheel)や，衛星の保持する角運動量を3軸に分配し，ジャイロ効果によってトルタを出力するコントロ一ルモーメントジャイロ(CMG:ControlMomentGyros)がある.CMGはRWと比較し，ホイールをジャイロ方向に回転させるため，角運動量の変化が大きく，出力可能なトルクは100倍程度である.