ヒトキヌレニナーゼのアフィニティ分離を目指したウサギ scFv のスクリーニングと特性解析

摘要

抗体医薬をはじめとしたタンパク質性医薬品は少な い投与量で高い治療効果を示すため、年々その利用が 高まっている。従来、タンパク質性医薬品を工業レベ ルで製造する場合、多段階のクロマトグラフィ操作が 利用されてきた。特に、抗体医薬の分離精製プロセス では培養上清中の抗体分子を高純度に回収するために ProteinA をリガンドとしたアフィニティクロマトグ ラフィが広く利用されている。一方で抗体以外のタン パク質性医薬品に対してProteinA のようなアフィニ ティリガンドは開発されておらず、それらの分離プロ セスは複雑で回収率も低い。以上の背景から、本研究 ではタンパク質性医薬品に特異的に結合する単鎖抗体(scFv)を単離し、これをリガンドとしたアフィニティ 分離プロセスの開発を目的とした。特に免疫チェック ポイント阻害剤としての利用が期待されるガン治療用 酵素ヒトKynureninase(KYNase)をターゲットととし、 これを選択的に回収可能な抗KYNase scFv 候補となる クローンを単離した。さらに、それらのアミノ酸配列 の解析と結合活性の評価を行った。また、単離した scFv クローンの抗原結合活性に対するpH 依存性を検 討し、アフィニティリガンドの候補となりうるクロー ンを選定した。