マイクロビーズを用いたPDMS製マイクロ流路チップへのレジオネラ菌捕獲の検討

摘要

腸管出血性大腸菌O-157やレジオネラなどによる細菌感染症のアウトブレイクと流行が社会的問題となっている。近年では遺伝学的診断法の進歩も著しいが、これら細菌の確定診断の基本は依然として培養法である。しかし，この方法では、診断が確定するまでに1週間から10日間程度の時間を要するという課題がある。そのため、1）短時間で細菌検出可能であり、さらに、2）医療施設をはじめ様々な場所に設置できて空間的によりきめ細かな検査が可能であり、3）必ずしも確定診断ではないが、ある基準量を超えた時に警告を発信する細菌センサの開発が期待されている。我々はこれまで細菌の持つ走化性、発光特性といった性質を積極的に利用することにより、細菌を培養することなく迅速検知可能な小型センサの実現を目標に検討を行ってきた。この検討の中で、レジオネラ·ニューモフィラ（以下、特に記載しない限りレジオネラと記述）が、運動を制限されると蛍光を発することを発見し、レジオネラを一種のキャリングビークルとして、蛍光特性を利用した培養を必要としないレジオネラセンサを目標に基礎的検討を行っている。