DNA ナノ構造体上に配置した酵素のナノリポソームによるカプセル化

摘要

生体内では、特定の酵素が区画化された空間に適切な分子数と配置で閉じ込められることにより、常温·常圧·水中という温和な条件下で効率的に酵素反応が進行する。このような反応場を試験管内に構築するためには、複数の酵素をナノメートルの精度で配置した上で区画化された空間に内包する技術が必要である。我々はこれまでに、DNA オリガミ法で構築したDNA ナノ構造体を足場として、タンパク質を一分子ずつ制御して配置する技術を開発している。この方法を利用し、連続する二段階や三段階の反応を触媒する酵素を近接して配置した反応場を構築することで、反応中間体が効率よく次の酵素へと受け渡され、連続反応が効率的に進行することを明らかにした。このような反応場を特定のナノサイズの空間に内包し区画化することができれば、反応中間体の三次元的な拡散を抑制し、さらなる反応の高効率化が期待できる。