嚥下動態シミュレータSwallow Vision?を用いた テイラーメイド食品設計の可能性

摘要

日本の全人口の25%は高齢者であり、日本は世界と 比較しても超高齢化社会が進hでいる。また日本人の 死因の第3位は肺炎であり、高齢者の肺炎は誤嚥性の 肺炎が大きな割合を占めている。今後、食の多様化が さらに進む中で、高齢者や摂食困難者のみならず、 様々な年代の方々に食品を「安全に」「おいしく」提 供することは、食品会社の大きな役割だと考える。 著者らはここ数年、正確な生体の動態モデルと数値 流体解析の技術を統合した、コンピューターを用いた 嚥下動態シミュレータ：Swallow Vision?を開発して きた* 。このシミュレータは、嚥下時の食塊の様子を 視覚的に可視化できるだけでなく、食塊の速度や生体 表面にかかる力などを数値的に可視化できる。また、 食品の物性値や生体表面の濡れ性、生体の挙動を適宜 変更することで、様々な予測も可能である。本講演で は、嚥下シミュレータを用いた新しい食品設計の可能 性について述べる。