(296-420)TiC-SiC 複合セラミックスの微細組織と機械的性質に及ぼす他炭化物添加の影響

摘要

高い硬さ，優れた耐摩耗性，化学的安定性を持つTiC は切削工具材料として用いられている．TiC 単体は難焼結性のため金属を添加したサーメットとして応用される．微粒のTiC 粉末を通電加圧焼結することで緻密な焼結体が得られるが，硬さや破壊靭性値が著しく低下する．これまでの研究で，TiC にSiC を添加することで，TiC 単体で用いるよりも機械的性質や熱伝導率が改善することを明らかにした．一方，WC 系硬質セラミックスにおいて，他炭化物を添加することで組織が微細化し，硬さ等の機械的性質が向上することが知られている．本研究では，他炭化物としてNbC，TaC，WC，ZrC をTiC-SiC セラミックスに添加し，微細組織および機械的性質に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした．これら他炭化物を添加したTiC-SiC 複合セラミックスの密度，構成相，微細組織，硬さ等の機械的性質の変化を調べた．