ル.コルピュジェ作品の文化財的価値の形成に関する研究: 世界遺産に推薦された19作品の竣エ後の変遷を通して

摘要

近年、「モダン.ムーブメント註"にかかわる建物」を、どのように文化財として保存?活用するかということが議論されている。歴史的?意匠的価値のみを重視する従来の保存方法に対し、その建物の機能を維持しつつ、その環境の中で保存を行つていくことは、近代建築の保存において重要であるといえる。ル?コルピュジェ（Le Corbusier,1887-1965,以下LC)は20世紀の建築、都市計画に大きな影響を与えた建築家であり、2003年から2011年に、世界各地に存在するLCの建築及び都市計画を世界遺産にー括登録する試みが行なわれた。LC作品は実現作品のほとhどが現存し、50作品以上が文化財に指定されており、文化財的価値が認められてきているま4)。しかし、LC作品群がどのように文化財的価値形成されてきたかはまだ明らかになっていない。そこで本研究では、「保護」「改修」「活用」が文化財的価値の形成において重要な観点であると捉え、世界遺産に推薦されたLC作品群の各作品の竣エ後の変遷を考察し、LC作品群がどのように文化財的価値を形成してきたかを明らかにすることを目的とする。