運航時間管理精度の航空交通流管理への影響

摘要

本稿では，ATFMのシミュレーションを行い，現行の運用方式の運航時間管理精度の航空交通流管理への影響を，出発時刻制御の出発時間誤差，飛行時間制御の飛行時間予測誤差について調査することにより，各々の時間管理手法の精度の影響を明らかにした．解析の結果，航空交通流管理において，出発時間誤差の影響は顕著に表れ，精度が向上すれば，120秒間隔に到着する便が増加しセクター内調整時間が減少，運航コストキャパシティロスの削減につながることが明らかになった．また，飛行時間予測誤差の影響は現行の航空交通流管理では，それほど影響しないことが明らかになった．その原因として，出発時間誤差の影響が極めて大きいことが挙げられ，出発時刻制御の向上により出発時間誤差が減少すれば，飛行時間制御の精度向上が，航空交通流管理で効果が期待できるということが明らかになった．この結果から，将来想定されている軌道ベース運用に向けては，出発時刻制御の管理精度の向上が最も効果的であると結論できる．