うれしさネットワーク分析に基づいた生活機能統合による社会参加支援

摘要

本稿では，高齢者の生活状態や体験（その人に対する価値を含むエクスペリエンス）の理解に基づいて社会参加を支援する生活デザイン技術の確立にむけ，拡張ICF を用いて日常生活を記述する手法とうれしさをネットワーク構造として可視化し分析する方法を提案した．「うれしい」ネットワークにおける構造比較の分析からは，個人によって「うれしい」ネットワーク構造の違いを可視化することが可能であり，うれしさ構造をベースとして，個人に適合した支援を提供可能であることが示唆された．今後，Community Based Participatory Research のアプローチを用いて，地域と取り組むことで，拡張ICF を利用して，高齢者のうれしいネットワーク構造の理解を深め，個人の体験を重視した社会参加支援技術を開発する．特に，今回考察してきた統合法を，具体的な計算論(Human Involving 型·環境埋め込み型センシング技術，データベース技術，アルゴリズム技術からなる体系）として実装する計画である．本研究の一部は，JST 戦略的イノベーション創出推進プログラム（S イノベ）「高齢者社会参加統合パッケージサービスの構築」の一環として実施された．