ヴァイオリン演奏ロボットにおける運弓動作の確立に関する研究

摘要

本研究ではヴァイオリン演奏における人間の高度な身体制御メカニズムの解明に焦点を当てている．ヴァイオリン演奏における動作は，大きく分けて右腕の運弓動作と左腕の運指動作の2つであり，これらは演奏時に協調される．2つの動作のうち最も音質に影響を与える動作は右腕の運弓動作である．運弓動作により操作される力学的パラメータには弓速（弓の速さ），弓圧（弦に与える弓の圧力），擦弦点が挙げられ．ヴァイオリンの音の長さや大きさや，きれいな音質を鳴らすために，これらのパラメータを人間は瞬時に的確に反映させている．本研究は，このようなヴァイオリン演奏時の力制御のメカニズムを解明するとともに，運弓動作に必要なパラメータを制御できる演奏ロボットを開発し，実際に人間が弾くように演奏を再現することを目的としている．本稿では題材とする曲を基に，演奏時の右腕の運弓動作の力学パラメータのうち，弓の移動座標と速度の入力操作の確立とその演奏に対する評価を行った．