オノマトペを利用した触相図の生成

摘要

本研究は，触感覚のデザイン·評価原理を日本語のオノマトペから構成する試みである．私たちが使用している言葉には，その記号的意味と，意味以外の質感的要素があり（書き言葉における文字の形や，話し言葉における音の響きが質感的要素に対応），これまで，言葉の音の響きに注目した「音相」の研究も存在している．言葉の多くは，その両方の要素を持っているが，言葉の中で，特にオノマトペは，その意味の要素よりも，単語の音の響き自体が対象の性質を表している語である．例えば，「さらさら」「ざらざら」「しとしと」などは，その音を聴いただけで，ある共通のテクスチャイメージを呼び起こす．これまで，言葉の音の響きと視覚イメージについては研究が存在しているが，その音の響きと触感覚のイメージについては，ほとhど研究は存在していない．そこで，本研究では，触感覚オノマトペの響きとテクスチャの主観的なイメージを関係付ける触相図を作成し，触感覚のデザイン原理·評価原理としての可能性を考察した．