細管内面用の交流高電圧プラズマCVD法により作製したDLC人工血管の生体親和性評価

摘要

血管外科領域において，血管疾患は動脈硬化，血管炎など増加傾向にある。そのため，外科的治療として血管の移植を必要とする症例も増加し,人工血管の需要が増加している。人工血管の素材であるePTFE（expanded polytetrafluoroethylene）は血液適合性が高いが，直径が6mm未満の小口径の場合は，吻合部の内膜肥厚により閉塞（開存率が悪い）するという問題があり小口径への使用に制限がある．これまでに，我々は細管内面コーティング用の交流高電圧バーストプラズマCVD法を開発し，a－C：H（Hydrogenated Amorphous Carbon）膜の成膜に成功している1）。本研究では，ePTFE人工血管の内面にa-C：H膜をコーティングし，生体親和性に及ぼす影響について動物実験により調査を行ったので報告する．