住環境に設置された小型風車の発電·騒音特性の解析評価に関する研究

摘要

環境問題に対する意識の高まりを背景に，環境に及ぼす負荷の少ない発電システムの1つとして風力発電システムが注目されており，都市部において風力エネルギーの回収を目的とした小型風車の導入が近年次第に増加している．小型風車は1基あたりの発電量が数百Wと小さいため,大容量で安定した電力供給は望めないが,停電時の非常用電源や商用電源との併用によるハイブリッドシステム用電源としての利用が期待され始めている.小型風車を建物周辺に設置する場合，建物により変化する風向·風速(ビル風)が風車の出力に与える影響を調査することは重要である．本研究ではビル屋上における高さ方向を含めた風車設置位置が発電量·騒音特性へ及ぼす影響を明らかにすることを目的としている．本稿では風車位置をパラメータとして風車へ流入する風向·風速及び風車の出力を測定した結果について報告すると共に，近接する気象台と測定地点との風向·風速の相関を調べることにより，発電量予測の可能性を検証する．また,準備を進めている騒音計測について測定方法を紹介する．