排泄支援ロボットと介護者との協働による重度障害者の排泄支援

摘要

近年，要介護人口の急増と若年人口の減少により，「老老介護（老人による老人の介護）」が大きな社会問題となっている．また，高齢者の増加と共に介護者の人手不足が深刻な状况であり，高齢者が安心した生活を過ごす為に，高齢者の生活支援用ロボットが強く求められている．特に，排泄介護は，介護者にとって大変な重労働である．従って，介護者の負担を減少させるように，様々な排泄介護ロボットが開発されている．そのため，著者らの研究グループでは，完全に自動化される介護ロボットではなく，特定の介護動作に限定して，介護者の負担をなるべく減らす介護支援ロボットを目指し，排泄介護支援ロボットを開発している．開発した排泄介護支援ロボットは，台車に載せた便器を身体の不自由な人の身近に移動し，安心した排泄サービスを提供する．本報告では，介護者に，簡単·便利な排泄介護をできるように，排泄介護ロボットと被介護者との協調動作の実現方法を提案する．そのための手法として，加速度センサを用いて被介護者身体の回転角速度，移動加速度と膝の回転速度を計測することにより，被介護者を椅子から便器に座らせる過程における位置変化と姿勢変化を測定する．得られた測定結果から，排泄介護支援ロボットのとるべき目標位置と姿勢を推定する．今回は疑似被介護者を対象に，排泄介護支援ロボットの目標位置と姿勢の推定について検討する．