面領域の表面性状評価－幾何特性のスケール依存と表記法

摘要

ISO（国際標準化機構）およびJIS（日本工業規格）は，垂直断面いわゆる線状の輪郭曲線方式に限って標準規格を完備している．しかし，表面機能を断面曲線のみで分析することが不十分であることは周知であり，面領域の幾何学的性質が必要不可欠となることがクローズアップしてきた．また，固体表面と周囲との境を同定するための「表面輪郭測定機」については、測定原理の多様化に加えて計測値の物理的意味づけが複雑化している．さらに、計測が離散点量子化を前提とするようになり，測定条件の適正化が問われるようになった．本稿はいささか大上段の題目となっているが，当該分野に関する学会と産業界のトレンドを評論するという立場ではなく，ISOという客観的な視点からその現状と今後の展開方向を紹介することにしたい．