低マッハ数域の磁気流体シミュレーションに向けたSLAU2-MHD

摘要

本研究では，全速度スキームSLAU2-HDのMHDへの拡張版であるSLAU2-MHDにおぃて，マッハ数0.01程度の低速MHD計算が破綻する（磁場が発散する）課題に注目し，その解決に取り組hだ．以下にその結論をまとめる．·SLAU2-MHDでマッハ数0.01程度の低速MHDの計算を実行すると，Euler Part計算において数値的なWiggle（隣り合うセル同士で互い違いに生じる高周波の数値振動）が形成されることが判明した．これは中性流体では存在しない低速域での磁場不連続が想定されておらず，局所的に数値散逸が不足していることが原因であると考えられる．·Wiggle Sensorを導入し，Wiggle発生箇所にO（M~0）の大きな数値散逸，それ以外の領域では今まで通りのO（M~1）の数値散逸となるように，SLAU2-MHDの境界圧力p_(SLAU2)を修正した．またこのときWiggle Sensorをマッハ数に依存した重み関数xと組み合わせることにより，SLAU2-MHDの超音速域における性能を維持したまま，亜音速域での性能のみを修正した．·1次元HD/MHD衝撃波管問題，field loop advection, MHD blast waveの計算を通してSLAU2-MHDへのWiggle Sensor導入の有効性を示した．特に課題となっていたSLAU2-MHDの低マッハ数域における計算破綻を抑制できることを確認した．