シングルコアプロセッサによるSMPマルチコアプロセッサシミュレーションの提案

摘要

近年組込みシステムにおいても，性能および省エネルギー性の向上のため，マルチコアプロセッサを採用する場合が増加している．図1に共有メモリを備えるSMPマルチコアプロセッサ（以後マルチコア）の構成を示す．そしてマルチコアに関する研究を行おうとするとき問題となるのが，その開発環境である．特に大学等教育機関においては製品としてのマルチコアCPUボードや開発環境が十分でない場合が多く，ハードウェアシミュレータも使用されてきた．しかしながらハードウェア系の研究をあまり行っていない部署にとってはハードウェアシミュレータも十分でないことが多い．そこで，従来から存在するシングルコアプロセッサ（以後シングルコア）上でマルチコアシミュレータを実現する方式を提案する．シングルコア上のマルチコアシミュレータが使用できれば，従来からのハードウェアリソースだけでなく，デバッガなどのソフトウェア資産も活用可能となる．さらに割り込み禁止を使用すればTAS（Test and set）やCAS（Compare and swap）などのRMW（Read modify write）命令のシミュレーションも自由に作成できるため，この分野の研究にも有用であることが期待できる．