棒状TiO_2粒子充填によるシリコーンエラストマーの高誘電率化

摘要

誘電エラストマーは,アクリルゴムやシリコーンゴムなどの柔軟な高分子を，柔軟な平板電極で挟hだ構造を持つ。図1に示すように，誘電エラストマーの電極間に電界をかけることで両電極はクーロン力によって引き合い，エラストマーを圧延し，伸長変形する。これはアクチュエータであり，人工筋肉やスピーカ用振動膜などへの応用が期待されている。また，伸長変形に応じて充放電のタイミングを制御することにより，エラストマーを伸長変形させる力学的エネルギーを電気エネルギーへ変換することが可能である。この誘電エラストマー発電は，1Hz以下の低い周波数の振動からも電気エネルギーを取り出すことが可能であるため，環境中に存在する微小な力学的エネルギーを電気エネルギーに変換するエネルギーハーベスティング技術の一つとしても注目されている。本論文では，棒状TiO_2粒子を充填したシリコーンエラストマーコンポジット（TiO_2/シリコーンエラストマーコンポジット）を作製し，その静電容量の測定値から誘電率を評価した。さらに，TiO_2/シリコーンエラストマーコンポジットの高誘電率化の原因を定量的に検討するため，TiO_2/シリコーンエラストマーコンポジットの誘電率を有限要素法に基づき計算するモデル(FEMモデル)を作製し，FEMモデルと実測値を比較した。特に，棒状TiO_2粒子の配向を考慮することにより，TiO_2/シリコーンエラストマーコンポジットの誘電率を説明可能か検討した。