高分子フイルム型超音波振動子のインパルス応答を利用した脳腫瘍の観察と画像処理

摘要

筆者らは、絶縁物の空間電荷を測定する過程で広帯域パルス超音波を取扱った経験を生かし、生体組織を無染色で観察する方法として、走査型音響インピーダンス顕微鏡を提案した。超音波の送受には高分子フイルム型振動子を用い、広帯域に亘る周波数特性を有するパルス波形を信号としている。波形全体をデジタル記録でき、音響インピーダンスの絶対値に変換することにより、定量的に解析を行うことができる特徴を有している。観察は無染色、非侵襲であり、従来の形態学的観察に加え、定量的な解析が可能となるものと期待できる。これを利用し、外科手術中に顕微プローブを使った腫瘍の判別を行うことを目的としている。本研究では定量評価および画像処理により、病理診断における精度向上を期待できることから、基礎研究として、ラットの脳腫瘍モデルの観察を行った。比較的良好な結果が得られたので報告する。