混合整数計画法とシミュレーションによる設備レイアウトの決定

摘要

近年，企業間競争の激化に伴い，各企業では競争力の向上として生産コストの削減や生産リードタイムの短縮といった生産の効率化が求められている．これを実現するための手段としては，生産システムの設備レイアウトや生産スケジュールの最適化といったOR(Operations Research)手法の適用や，加工作業の処理時間の短縮や組立て作業の自動化といった生産技術の高度化などが考えられる．設備レイアウトの最適化については，施設配置問題として様々なモデル化や解法が研究されおり，それらの適用対象は生産システムをはじめ様々である．これらのアプローチは，最適な設備レイアウトを自動で設計できるものの，決定変数や制約条件を厳密にモデル化しようとすると問題が大規模になり，実用時間内に設計することが困難になる．一方，対象とする生産システムのシミュレーションモデルを作成して，設計者の知見に基づいて試行錯誤的に設計することも考えられる．しかしこのアプローチは，対象が複雑である場合には質の良い設計をすることは困難となり，設計者の設計作業における負荷が大きくなる．本稿では，両者のアプローチの長所を活かして，設計者の負荷を軽減し，かつ実用時間内に実用的な設備レイアウトを設計する手法とその適用例について記述する．