揺らぎの無い場合の基底状態としてのSrTiO_3の強誘電性

摘要

SrTiO_3は、量子力学的零点振動の揺らぎがなければ、極低温で強誘電体になる量子常誘電体と考えられている。低温と室温では、酸素の回転による対称性低下(AFD)の有無の違いがあり、夫々AFD-STO, STOと呼ぶ。しかし、基底状態の解明が不十分なため、AFD-STOの量子常誘電性の機構は未解明である。本発表では、AFD-STO の圧力誘起強誘電性[1]の再現性を基にSTO AFD-STOの第一原理計算を検討する。この精度は格子定数の再現性で決まるので[2]、実験[3]を高精度に再現するのはPBEsolと HSEと結論した(図1)[4]。AFD角実験値はHSEでのみ再現できた。STOは、揺らぎ無し応力無しで常誘電体と報告されているが[5]、圧力誘起強誘電性[1]と矛盾し、AFDによる強誘電性抑制を考えると矛盾が広がる(図2)。