地域における舞台芸術環境の構築手法に関する研究:演劇制作・支援団体の活動を通して

摘要

近年、舞台芸術の場は、単に発表するだけではなく、創造拠点として地域に根ざした活動を発信する場としての役割を持ちはじめている。地域における舞台芸術の場を、劇場やホールなどの施設に留まらない、ソフト面を含めた「環境」としてとらえると、そこには地域住民にとってアーティストが近しい存在として認識されるような、舞台芸術環境の構築が必要と考えられる。各地域の舞台芸術環境は、舞台芸術の需要や創造活動を行う演劇人、技術者といった創造集団などによって構築手法や目的が異なってくる。それは、創造集団とともに上演の場の提供や作品の制作及び支援、舞台芸術に関連したプログラム、施設運営といった、事業を行う制作・学芸部門の関係者によって構築される。本研究では、その舞台芸術関係者によって組織、運営される団体を「演劇制作・支援団体」と呼び、それらの活動を調査することによって、舞台芸術環境を地域との関係性においてどのように構築していくのかを明らかにするものである。