不均一放射環境の簡易測定法に関する研究その１ グローブ温度計を用いた方法

摘要

快適な温熱環境を実現するには，体感温度を制御することが重要である。体感温度に影響を及ぼす要素には温度・湿度・風速・放射・代謝量・着衣量があり，放射の簡便な測定法としてはグローブ温度計を用いた方法がある。しかし，グローブ温度計はすべての方向からの放射を平均的に評価するだけで，不均一な放射環境で各方向からの人体に対する放射を分けて評価することはできない。人は屋外では日射や地表面・建物からの放射などを受けるし，ガスコンロ・暖房機器1)などによっても放射を受けることがある。放射面に対する人体の向きや姿勢によって形態係数が異なる2)ため，このような不均一な放射環境では人体に対する各面の放射の大小によって体感温度も異なる。中村ら3), 4)は立方体正味放射計に関する一連の研究により測定器の構成や壁面表面温度算定値の信頼性について検討している。しかし，住宅や屋外での実態調査に積極的に活用するには，より簡便な測定器の方がが望ましいと思われる。そこで，本研究は不均一放射環境の簡易な評価方法を提案することを目的とし，本報ではグローブ温度計に手を加えた測定法について報告する。