グラフェンのグルコースバイオ燃料電池応用に向けた酵素電極の作製と評価

摘要

グルコースは血中に多く存在し、動植物の活動エネルギーとなる物質である。このグルコースを燃料とする生体内で発電可能な燃料電池が実現すれば、燃料が枯渇しない電源として体内埋込型医療機器などへの応用が期待できる。我々はグラフェンの高い電気伝導性や生体親和性に着目し、バイオ燃料電池の電極としての応用を目指している。本研究では、化学気相成長 (chemicalvapor deposition: CVD) 法で作製した単層のグラフェンとフレーク状グラフェンを圧縮して作製されるグラフェンペーパー (GP) にそれぞれ2 種類の酵素を固定化し、酵素電極を4 種類作製することで表面構造の違いによる電流応答の変化を調べた。アノードにはグルコースの酸化触媒酵素であるピロロキノリンキノン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ (PQQ-GDH) を、カソードに酸素還元触媒酵素であるラッカーゼ (Lac) を利用した。これらの酵素を固定化するため、ピレン基及びカルボキシル基を有するリンカー分子を利用した。作製した4 種類の酵素電極の評価にはCV(cyclic voltammetry) を利用し、グルコース及び酸素に対する電流応答を評価した。