集団内の遺伝的多様性がもたらすロタウィルス株の遊離塩素感受性変化

摘要

水処理設備や環境表面、食品における遊離塩素消毒は 水系感染症ウィルスの不活化に有効ではあるものの、毎年 流行期に現れる水系感染症ウィルスに対して常時一定の消毒効率を示すとは限らない。RNAウィルスは一つの遺伝子 型においても異なる遺伝子配列を有する個体を多数内包し た集団 quasispeciesとして存在するため、個体間で異なる 消毒剤感受性を示す、あるいは個体間相互作用により消毒 を回避する可能性があるからである。本研究では、人間社会 における水系感染症ウィルスの蔓延を防ぐために必要な消 毒強度を設定することを目指し、quasispeciesを形成したゥ ィルス集団の消毒に対する応答を明らかにすることを試みた。