ヴェルサイユ宮殿鏡の間における採光の問題と王立鏡面ガラス製作所の鏡の導入

摘要

1661年、ときのフランス国王ルイ14世(Louis XIV,1638-1715)が親政開始を宣言して以降、自らの王国を代表するものになる建築事業が始まった。財務総監と国王付建設局長官を兼任した重臣ジャン・バティスト・コルベール(Jean-Baptiste COLBERT, 1619-83)はこの事業にあまり乗り気ではなかったが1)、彼の度重なる懇願や警告を無視してでも王はこの事業を推進する気満々だった。この事業とは父王ルイ13世が残したヴェルサイユの小さな狩猟館を大宮殿へと飛躍させる端緒となる増築工事のことである。