持続性・多面的機能を考慮した森林活用モデルの作成に関する研究: 東広島市における木質バイオマス活用可能性の評価に向けて

摘要

近年、地球規模の環境問題として、化石燃料の枯渇や地球温暖化が挙げられ、代替エネルギー活用や温室効果ガス排出量の削減が求められている。また、我が国では1960 年代の木材輸入完全自由化を契機とする林業衰退により、標準伐期を過ぎた森林が放置され、土砂災害や病害虫に対する脆弱化等による森林荒廃が懸念されている。そこで、これらの解決に向けた方策として木質バイオマスエネルギーの活用が考えられる。特に木質バイオマスの利用はカーボンニュートラルであり、化石燃料の代替エネルギーとして注目されている。また、木質バイオマス活用により森林整備等につながると考えられるが、そのためには持続的な活用が求められる。さらに、森林が持つ多面的機能には、洪水調整や土砂災害防止などの機能があり、それぞれの機能に応じて適切な伐採方法が存在する。したがって、森林を木質バイオマスとして利用するためには、森林の多面的機能を考慮した上で、森林の伐採計画を作成する必要があると考えられる。