電車利用者の改札外におけるスマホ利用実態に関する研究 その1：駅改札の状況と周辺で起きる滞留行為に基づく考察

摘要

スマートフォン（以下、スマホ）の普及に伴い、歩きスマホを行う歩行者が当事者となる事故が多発しており、75％が路上や駅等の交通施設内で発生している1)。プレ調査として駅周辺の歩行者を観察したところ、一つ目の傾向として、スマホ利用者の割合は駅に向かう人に比べ、出てくる人の方が多く見られた。このことから、電車内の座席等で止まっている状況（以下、滞留行為）がきっかけとなり、改札外でもスマホ操作を継続していると推測できる。駅周辺には信号待ちなどの一時的な滞留行為が発生する場所（以下、滞留場所）が多く存在し、これらの滞留場所における滞留行為が歩きスマホの街への継続性に大きく影響していると予想される。二つ目の傾向として、歩きスマホは、他者の後を追随して歩行する様子が見られたことから、自身のパーソナルスペース内にいる他の歩行者の有無がスマホ利用の継続し易さに影響している可能性が考えられる。以上の二つの傾向から、歩行者1 人1 人の状況を連続的に計測することで得られる、歩きスマホの利用状況（以下：スマホ状況）の変化を調査することで、歩きスマホの開始や継続の要因を明らかにする。