単一メタ分子によるマイクロ波領域での増強磁気カイラル効果

摘要

磁性とカイラリティが共存する系で起きる光学現象–偏光無依存な方向依存複屈折（方向二色性）–は、磁気カイラル効果と呼ばれる[1]。磁気カイラル効果は、非相反マジックミラーなど新たな光学素子への応用のみならず、光にとっての人工的ゲージ場を実現するという基礎的な観点からも興味深い。しかしながら天然物質、例えば磁場下でのカイラル分子やカイラル磁性体、が示す磁気カイラル効果は大変小さく、観測には困難が伴う[2, 3]。そこで本研究で我々は、マイクロ波領域での磁気カイラルメタ分子を作製し、室温で磁気カイラル効果の増強を目指す。更に数値計算を用いて、増強のメカニズムを明らかにする。これらの結果は光学素子への応用を見据えて、光領域など高い周波数で大きな磁気カイラル効果を得るための指針たり得ると期待される。