スターリングサイクルを利用した温度差発現装置の試作と検証

摘要

熱サイクルの一つであるスターリングサイクルは，理論上，最も効率の高い熱サイクルであり，環境に低負荷という特徴を持ち合わせている．スターリングサイクルを用いた模型エンジンは構造がシンプルであり，多くの大学?高専などで，教育教材や実習テーマとして採用されている．本サイクルはエンジンだけでなく，逆サイクルの応用により，冷凍機として利用することもできる．スタリング冷凍機はフロンなどの冷媒を使わない，極めてクリーンな冷凍機として知られ，国際的な研究開発の対象となっている．実際にスターリング冷凍機は多くの企業で技術開発が進められ，商品化もなされている．しかしながら，冷凍機作製にあたっては作動に必要な温度差を数百度まで上げられるエンジンと異なり，発現温度差が小さいため，製作にデリケートな精度が要求される．そのため，エンジンに比べ，参考文献および試作例が極端に少ないのが現状である．