血管老化かうみたStem cell aing: 酸化ストレスと血管内皮前駆細胞の老化

摘要

近年，糖尿病、高脂血症，高血圧症　喫煙，肥満等の心血管危険因子を有する患者において末梢血中血管内皮前駆細胞（Endothelial Progenitor Cell=EPC）の数及び機能低下との因果関係が報告され，EPCが血管のホメオスターシス維持機構にも重要な役割を担っており酸化ストレスによるEPC機能低下が血管のホメオスクーシス維持の破綻をきたし動脈硬化の進行及び虚血性疾患の発症に至ると考えられる。この意味においてEPCは新たな心血管危険因子におけるバイオマーカーとして診断的有用性が期待される。一方，心血管危険国子がもとで活性酸素種の産生克達により慢性的酸化ストレスへの暴露が原因でEPCが機能を発揮する上で重要な細胞内シグナル機構の破綻，老化促進シグナルの活性化が解明されつつあり，今後，これらのシグナルを制御するEPC機能改善，老化抑制作用を有する薬剤や因子による治療や新薬の開発が期待される。さらに虚血性疾患患者に対する自己EPC移植療法とそれらの薬剤との併用療法による血管再生療法の開発一有効性向上が期待される。