—側感音難聴から同側顔面神経麻痺、両側感音難聴へと進展した神経梅毒の1症例

摘要

梅毒はTreponema pallidum (T. pallidum)による性感染 症であり、その新規発症報告数は2003年には509名であった が、2013年には1,228名となっている[1]。梅毒は5類感染 症のため基本的には全数報告されていると考えられ、減少傾 向にあつた梅毒の患者数が近年増加傾向に転じたといえる。 神経梅毒としては3期梅毒である進行麻痺や脊髄癆が有名で あるが、早期、晩期を問わず、あらゆる病期で神経症状を呈 しうる[2]。今回、神経梅毒によると考えられる一側顔面神 経麻痺、両側感音難聴を呈した症例を経験したため報告する。