生産乳量を中心とした経産牛更新の決定に関する事例的検討

摘要

酪農経営に大きな影響を及ぼす経産牛の更新産次を決定するため，平均利益を最大にする産次について検討を行った.分析には，社団法人中央畜産会が調査した「先進的畜産経営の動向、平成8年実績」から，北海道の酪農家25戸における平均経産牛飼養頭数71.6頑の経営データを用いた．年間の経産牛1頑当り平均産乳量9，000kgを基準乳量とした場合の平均利益は，8産次で最も大きな値を示した.基準乳量より1，000kg高い乳量の場合および基準乳量より1，000kg低い乳量の場合においても，平均利益は8産次で最も大きな値であった.また，各乳量レベルで5産次以降を10％および15％減少させた場合，平均利益はそれぞれ6産次と5産次で最大となった．しかし，何れの場合でも4産次までの平均利益は，急激に増加したが5産次以降の平均利益は微少な増加であることが分かった．