スマートフォンのセンサ情報を用いた路面性状に基づぐ車両測位に関する検討

摘要

本研究では，車両のダッシュボード上に設置されたスマートフォンを用いることにより，走行時に車両に生じる振動を観測することでロンジチュージナル測位を行う手法の検討が行われている．本手法では，事前に車両がどの位置でどのような路面の粗さの影響を受けるのかをデータベース化した振動マップを作成しておき，走行中に取得した車速と振動情報から作成した走行データとマッチングを行うことにより，通過した位置を特定して測位を行うことができる．本稿では，車速を従来のController Area Network（CAN）から得られる情報ではなく，Android 端末内のGPSモジュールより得て走行データを作成する手法が検討されている．提案手法について走行実験を行ったところ，従来のCANから車速を取得した場合には平均誤差と標準偏差がそれぞれ4.8m，1.1mであったのに対し，GPSモジュールから取得した場合にはそれぞれ2,4m，1.8mという測位結果が得られている．この結果より，GPS衛星からの受信信号数に依るものの，CANに依存せずスマートフォン単独での測位が可能であることが示されている．