再帰性投影技術における映像焦点距離とスクリーン距離の差異が観察映像に与える影響

摘要

再帰性投影技術は，再帰性反射材スクリーンと投影光学系を用いて，任意形状の物体表面をディスプレイとして機能させる手法であり，拡張現実感，複合現実感での利用が進められている．従来の研究では，再帰性反射材は理想的な特性を持つと仮定され，スクリーン距離に関わらず鮮明な映像が観察されるはずである．しかし，スクリーンが眼の至近距離に存在する場合，像がぼやける現象が報告されている．本研究では，スクリーン距離と投影距離の際に起因する映像劣化現象の原因として，再帰性反射材の実際の構造に着目する．比較対象としてホワイトスクリーンに投影された．映像を参照しつづ，再帰性反射材スクリーンへさまざまな距離から投影して得られた画像の比較を行い，再帰性反射材が映像に与える影響を検討した．その結果，ホワイトスクリーンにおける映像ボケとは異なる性質の映像劣化が観察され，マイクロビーズの分布密度に起因することが示唆された．