奥行き反転の空間周波数および周期数依存性

摘要

両眼網膜像差は人間にとって有効な奥行き手がかりであるが，知覚される奥行きが幾何学的な予想と反対党なる場合があることが知られている（奥行き反転）．ここでは，ランダムドットに水平方向の正弦波状の網膜像差変調を与え，知覚される奥行きの方向と空間周波数および周期数の関係を明らかにした．空間周波数は0.1，0.2，もしくは0.4cpdであった．周期数は1～8であった．網膜像差の振幅は最大0.5degの範囲まで変化させた．6名のうち5名の被験者は高空間周波数で周期数が大きい条件で反対の奥行きを報告した．2名の被験者は低空間周波数で周期数が小さい条件で反対の奥行きを報告した．これは複数の要因が奥行き反転に寄与することを示している．