電事象関連電位を用いた言語産出研究のための発話アーチファクト除去システムの開発: 第二言語での単語産出の事例を用いて

摘要

言語産出の過程を解明するための脳波測定が盛hに行われるようになってきた．しかし，言語産出の際には顔の筋肉を動かすため，筋肉の活動電位の変化が脳波信号に対するアーチファクトとなり，発話直前から発話（発音）にかけての認知過程の解析を困難にしている．本研究では，事象関連電位(event related potential, ERP)を用いた言語産出研究においてほとhど未開拓の時間領域である発話前後の認知過程の解明を目指し，発話アーチファクト除去のためのシステム開発を行っている．本稿では，剰余反復分解法(residue iteration decomposition, RIDE)(Ouyang et al., 2016)を用いて，第二言語による線画命名課題の実験データ(Hoshino & Thierry, 2011)の一部を再分析し，発話アーチファクト除去解析の結果について報告する．