ESDガンの気中放電を介する放電電流の解析モデル

摘要

静電気放電(ESD: EIectrostatic discharge)に対するイミュニティ試験法を定めたIEC61000-4-2では，静電気試験器（ESDガン）の供試機器への接触放電が推奨される．ESDガンの気中放電は，接触放電よりも厳しい試験法とされるが，放電電流波形がガンの接近速度に依存し，波形の再現性も悪いことから，IECではその詳細を規定していない．著者らは先に，気中放電を介する放電電流の特性把握がイミュニティの向上設計に役立つと考え，市販ESDガンの電流検出変換器への気中放電の放電電流波形を測定し，立ち上がり時間hと電流ピークI{sub}pとの間においてI{sub}·(t{sub}r){sup}ξ/V{sub}c=constant(ξ<1)という関係が成り立うことを示した．しかしながら，前述の電流検出変換器は伝達周波数特性をもつため，測定電流波形に影響を受ける．本文では，まずESDガンの気中放電による近傍磁界を2プローブで同時測定することで放電電流を推定する手法を提案し，その有効性をSMAコネクタへの放電で検証する．次にグラウンドに対する気中放電で生ずる近傍磁界を2プローブ法で同時測定し，この場合においても電流ピークと立ち上がり時間との間には上述の関係式が成り立つことを示した．