「MF/UF膜研究の展開」の特集にあたって

摘要

精密ろ過法（Microfiltration:MF)，および限外ろ過法(Ultrafiltration:UF)は，各種水処理プロセスや食品分 野などで既に幅広く利用されている.かなり成熟した技 術と理解されている読者も多いと思う.分離対象液があ り，処理液に求められる性状が示されたとき，どのよう な場合でも最適な膜を選定し最適なプロセスを設計でき ることが理想と考えるなら，膜面近傍·膜細孔内の現象 を正しく理解し，これを定量的に記述することが必須と 思われる.しかし現象の理解を多少犠牲にしても（たと えばファゥリングのダイナミクスは分からないが，定常 フラックスは分かるといった意味で），とりあえずプロ セス設計は可能である.経験的に最適に近い状況を実現 することも可能かもしれない.成熟と理解はいつでも両 立しているわけではない.（理解にも色々なレベルがあ るヵが，)深い理解を犠牲にしても決断することで成熟に 近づく.何でもスピードが求められる現代において，こ れは当然のことのようにも感じる.成熟が理解を助ける ことも大いにあるだろう.