不凍タンパク質の構造と機能高品質魚類不凍タンパク賃がもたらす冷熱技術イノベーション

摘要

冬が近付くと，鳥は南方に渡り熊は冬眠の準備を始める。これらは生態学レベルでの“生物の低温適応”の例である。一方，分子レベルでは，塩，脂質，グリセロール，トレハロース等が寒冷地生物の体内に蓄積 されて行く。AFP（図1）はこれらの物質とともに働く低温適応物質であり，水が凍る瞬間に無数に発生する 氷の単結晶に結合してそれらの成長を抑制する機能 （氷結晶成長抑制機能）を有している。特に魚類AFPは氷結晶のみならず脂質二重膜にも結合して，0°Cに 近い非凍結温度（4°C）に晒した細胞の生存時間を飛躍的に延ばす機能（細胞保護機能）を発揮する。