私家版-戦後日本土木工学小史--第4回 ダム建設（その3）

摘要

「ダム建設（その1）」と「ダム建設（その2）」では，ダムの種類，歴史，目的，ならびにダムを建設するための準備作業やダムに付帯する関連工事等について紹介した。今回は，河川の流れを仮排水路（トンネル）に導くための仮締切堤の建設及びダムを安全に支持し，また漏水を防止するための基礎地盤の改良方法を中心として紹介することにした。基礎地盤の改良は，岩盤基礎に対しては，水にセメントを溶かした溶液（これを「セメントミルク」と呼ぶ）を地盤内に注入（「グラウチング」という）するものである。グラウテングは，コンクリートダムの場合はダム敷全域に亘り，またフィルダムでは特別な場合を除きコア敷に対してのみ行われる。