バンカーC需要に世界同時不況の波回復の道のり遠くHSC需給に不安

摘要

日本積みボンドバンカーC重油の需要が落ち込み傾向を強めている。 日本のバンカー市況が人為的に異常に吊り上げられ，歴史的な割高感が発生したのを契機に日本積みが敬遠され，需要が30万kl台へ激減したのが昨年9月。 その後は，米国発の金融危機が招いた世界的な景気後退の波に呑み込まれてしまった。 昨年7月以降，バンカーC重油の月間販売量は一度も50万klを上回らないまま縮小傾向が続いている。 7～9月は135万klで前年同期の93.5％，10～12月は137万klで85.8％へ落ち込み，2008暦年の販売量は557万klで前年の96.3％にとどまるマイナス成長に終わった。 2009年1月も42万klで，16.7％のマイナス成長と低調。 日本積みバンカーの市況は，12月から割高感は消えている。 180cStのシンガポールとの市況差は11月の40ドルが，12月に16ドルへ縮hでから，1月15ドル，2月13ドルへと縮小している。 しかし，需要が回復する兆しはみられない。今振り返ると，昨年8月末から9月にかけてみられた人為的と考えられる市況の吊り上げは，極めてまずいタイミングに行われたことが浮き彫りになる。ボンド生産量も縮小した。 2008暦年は560万klで，前年を5.9％（35万kl）下回った。 それは国内HSC重油の供給圧力に変わる。堅調なバンカー需要はボンド生産を通して，国内HSC重油の市況を支えてきたが，この構図は既に崩れていることになる。1～3月は大幅に値下がりするHSC重油に自家発用の需要盛り返しが期待されるが，景気後退が足かせになり，爆発的な回復はみられない。電力向けC重油需要に予想される激減傾向と重なり，C重油に需給破綻の懸念が漂っている。